「JALの給与水準をJEXの水準に落とせば、JALの乗員の不満が爆発すると、経営陣が恐れているからです」(先のOB)

 つまり、JALお家芸の労務対策の問題から構造改革が拒否されているのだ。JALを滅ぼしたのはJASではなく、労務対策優先で"経営不在"だったこと。にもかかわらず、同じことがまた繰り返されようとしている。

 JALがこのまま計画案どおりに更生したらどうなるのか? JAL再生にかかわってきた経営コンサルタントは警告する。

「大半の路線が重なるANAと、激しい価格競争が始まるでしょう」

 これまで以上に激しいANAとのシェア争いが再開するというのだ。

「不況や戦争による需要減は必ずまた起きる。その時、再上場で膨張した図体になったうえに、ANAとの競争で体力を消耗して、JALが再び経営危機に陥る可能性が高い。JALは海外の航空会社と戦う以前にANAとの戦いに終始して、最悪の場合、ANAと共倒れになるかもしれません」(同)

 同じ心配は国土交通省の幹部からも漏れる。これでは一体、何のために多額の公的資金を投入したのかわからない。これを避けるにはJALを解体し分割売却して、国際線はANAと一社化し、国内線は機材の大きさなどでANAとすみ分けるといった業界再編がもはや不可欠だ。

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