今年も台風の季節がやってきた。近年は特に豪雨による災害が増えており、浸水や土砂崩れで住宅が被害を受けるケースも多い。被災したとき、どうすれば速やかに生活を立て直せるのか。使える支援制度と手続きの方法をまとめた。
【一覧で見る】自然災害で被災したときに受けられる主な支援制度
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今月6日、非常に強い勢力をもった台風10号が九州に接近。北九州に住む60代の女性は、「これまでに経験したことがない暴風になると聞いて、とても不安だった」と話す。
「台風がくる前日には、ホームセンターの入り口に車の長蛇の列ができて、菓子パンからカップ麺まで全てなくなってしまいました。幸い、うちはたいした被害はありませんでしたが、家ももう古いですし、最近は台風の勢いも強くなっている気がするので、不安で仕方ありません」
豪雨による災害は年々増えている。国土交通省資料によると、1時間降水量50ミリ以上(河川の氾濫や土砂災害が発生するレベル)の豪雨の年間発生件数は、30年間で1.4倍に増加。今年7月には、熊本県を中心に各地で集中豪雨が発生し、死者83人、重軽傷者29人のほか、6千棟近くの住居が全壊・半壊するなど、甚大な被害をもたらした。
こうした自然災害によって、家族や住居、財産を奪われたとき、生活再建の足掛かりになるのが公的支援制度だ。しかし多くの人は、支援制度があること自体を知らない。
ファイナンシャルプランナー及び社会福祉士で、災害時の対応に詳しい清水香さんは、「被害を受けても、自分で申請しなければ原則支援は受けられません。そのため被災したときは役所に行って被害状況を伝え、受けたい支援を申し出る必要があります」と語る。
例えば、地震や豪雨などによって住居に大きな被害を受けた方には、「被災者生活再建支援制度」が用意されている。
「これは住宅の被害の程度に応じて支援金が給付されるもので、基礎支援金として『全壊』の場合は100万円、『大規模半壊』の場合は50万円が給付されます。さらに新しく住居を建設・購入する場合は、加算支援金として200万円が給付され、最大300万円の援助を受けることが可能です」(清水さん)