この年、竹内さんはNHK連続ドラマ小説『あすか』のヒロインに抜擢されると、その後も、数々のドラマや映画に主演するトップ女優に駆け上がっていった。

 しかし、それから約20年、竹内さんの早すぎる訃報が知らされた。桜井さんは、激しい後悔の念に襲われたという。

「結子ちゃんがあの時の解説文ほど自分をさらけ出している文やインタビューを、私は読んだことがありません。あまり語る人ではなかったのでしょう。私は作家ですから、あの素晴らしい文章をもらった時、『小説を書いてごらんよ』とか、『自分のことをもっと書いたらちょっと心が軽くなるよ』と勧めることができる立場だったのに、そうしなかったことをものすごく後悔しています。もし何か書いていれば、結子ちゃんの心がちょっとだけ、軽くなったかもしれない」

 なぜ、こんなことになってしまったのか。桜井さんは今も考え続けているという。

「私も含めて、みんな10代の自分が心のどこかにいますよね。結子ちゃんの心の中には今もあの、19歳の時の彼女がどこかにいたのかもしれません。女優って、自分をいつもキラキラ輝かせなければいけないし、ポジティブな発信をしていかなければならないし、大変だと思います。たくさんの人の目標や憧れになって。でもその陰では、色々な思いがあったと思います。彼女はすごく頑張り屋さんで、現場でも弱音を吐かないし、解説文では人に甘えることがあまり得意ではないとも明かしていました。頑張り過ぎていたのかもしれない。今となっては、想像することしかできないですが。あの文章を何度も読み返して、結子ちゃんと会話をしていきたいなと思っています」(桜井さん)

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(本誌・岩下明日香)

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