"アンテナ表現"の例は、「I’m calling about~」(~の件で電話しています)や「How about~?」(~はいかがですか?)、あるいは「unfortunately」(残念ながら)など。これらに続く状況説明や提案、程度の変化を示す内容が解答につながる場合が多いという。

 リスニングの二つ目のポイントは「スクリプトありシャドーイング」だ。

「聞き流すのではなく、長文原稿を見ながら耳から入った英語を声を出して追いかける。耳と目と口で英語にふれるので理解度が高まります。ネイティブが話す速さで文を追うので、読むスピードも上がります」

 一方、リーディングも長文を徹底攻略するのが有効だという。長文読解問題のパート7を繰り返せば、文法問題のパート5や長文穴埋め問題のパート6をこなす力もつく。そこで渡邉さんが強調するのは、解くことではなく読むことの重要性だ。

受験2カ月前からとにかく毎日長文を読んでください。リーディングにおいて、問題を解くのはあくまで情報処理です。最初は5分でもいいので、読む時間を増やすことを意識しましょう」

■1カ月前に本番形式で腕試しを行う

 渡邉さんは本番1カ月前の腕試しを勧める。11月15日に実際の公開テストがあるが、受けられない人もこの日、同じ時間に本番形式で「公式問題集」を解き、まだ弱い点を把握して以降の勉強に反映したい。1カ月を切ったら、短文にも挑戦しよう。

「写真描写のパート1や短文穴埋めのパート5は、短期でカバーできます」と渡邉さん。最後の1週間は本番を想定し、1日に複数のパートを解く。

「TOEICは努力の結果が跳ね返ってくる良いテストです。本気で2カ月でのスコアアップを狙うなら、寝る時間を10分遅らせてでも英語を勉強してほしいですね」

渡邉淳(わたなべ・あつし)
英語学習コンシェルジュ。留学なしでTOEIC990点取得。東京海洋大学でTOEIC担当の非常勤講師を務める。共著に『毎日の英単語』(朝日新聞出版)がある。

(文/菅野浩二)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より