バレーボウイズ(写真提供:ソニーミュージック)
バレーボウイズ(写真提供:ソニーミュージック)
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新曲「オバケな彼女」のジャケット(写真提供:ソニーミュージック)
新曲「オバケな彼女」のジャケット(写真提供:ソニーミュージック)

 学生の街、京都を拠点とする一つの若いバンドが解散した。2015年に京都精華大学の学生たちが結成した7人組、バレーボウイズ。ロックやポップ・ミュージックの細分化に歯止めがかからない中、だれもが楽しめる躍動感あふれるメロディーと歌の力で勝負する邪気のないグループとして、インディー・ベースながら広く人気を集めてきた。

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 9月30日夜、インターネット上で発表された突然の知らせ。驚いたリスナーも少なくなかったと思う。だが、SNSでファンの反応を見ていると、一定の役割を終えた彼らをねぎらう言葉が散見された。それはまるで、いつか彼らが“卒業”していくことを、どこかで覚悟していたようでもあった。バレーボウイズが大学の学園祭出演のために結成されたバンドであること、そして学生生活の持つ青い輝きがそのまま彼らの魅力になっていることを、みなわかっていたからなのかもしれない。

 バレーボウイズは、ソングライターでギター、コーラスも担当するネギを中心とした男女混合グループだ。そこにいる全員で思い切り唱和できるような曲を、男女ツイン・ボーカル、3本のギター、ベース、ドラムという編成でにぎやかに聴かせる。写真を見てもわかるように、どこにでもいるような大学生たちの楽しげな雰囲気そのままに、彼らのライブはオーディエンスも一体となるパーティーのような雰囲気が魅力だった。特に、前田流星、オオムラツヅミという中央で踊りながらマイクに向かう2人の表情豊かなボーカルは、同時期に頭角を現してきたHomecomings、本日休演、台風クラブといった他の京都のインディー・バンドにはない人懐こい無邪気さを伝えていた。

 中でも人気が高かったのは「人間大好き」「卒業」といった曲だろう。ティーンから大人になっていく中で揺れ動く心境を、てらいのない言葉で感情豊かに綴る曲が多いバレーボウイズらしい代表曲だ。「飯食って風呂入って寝るだけ!」(「人間大好き」)「いつまでたっても大人になりゃしねえ!」(「卒業」)というサビがライブで大合唱になる瞬間は、何度そこに居合わせても鳥肌が立った。「人間大好き」とまっすぐに叫べる青さがまぶしかった。

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