「大阪都構想では、数千億円の費用がかかると試算されています。その財源は、大阪市民の公共サービスを削ることで捻出しなければならない。大阪市には何のメリットもありません」
一方の維新は、大阪市が廃止されることで無駄な行政コストが減ると主張。歩み寄る気配はない。
大阪での自公対立は、菅義偉首相の衆院解散戦略にも影を落とす。
「菅さんは慎重な人。都構想の問題が片付くまで解散できないのでは」(前出の自民関係者)
菅内閣の人事でも、火花が散った。
「大阪万博担当相に東京選出の井上信治衆院議員が就任したことで、大阪の議員が『菅首相は都構想に賛成なのか』と反発。最後は副大臣・政務官人事で大阪選出議員を衆参計8人も任用してバランスを取った」(同)
すでに永田町では年内の解散はなくなったとの見方が広がり、刺客作戦は棚上げに。しかし、住民投票で都構想が可決されれば話は変わるという。野村氏はこう語る。
「有権者は、選択肢を求めています。もし可決されたなら、公明候補への落選運動など何でもやるつもりです」
火の手はどこまで広がるのか。11月1日の結果が行方を決める。(本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2020年10月16日号