コロナ禍で「孤独死」の現場に変化が起きている。これまであったセーフティーネットが崩れるなどして、生存確認ができなくなったり、発見が遅れたりしているというのだ。孤独死した部屋の清掃などをする特殊清掃業者が、コロナ禍の現場を語った。
「今年に入って高齢者の孤独死が急激に増えました」
こう話すのは、東京を中心に特殊清掃を請け負う「武蔵シンクタンク」(八王子市)の塩田卓也社長だ。孤独死の現場の清掃のほか、原状回復工事、感染者が出たビルの消毒作業なども請け負っている。
以前は孤独死で見つかるのは、50代後半から60歳くらいまでが8割を占め、30代や40代も珍しくなかったという。65歳以上の高齢者はむしろ、地域包括支援センターの見守り活動や、訪問介護などで生存が確認されていたようだ。
ところが、コロナ禍の今年、状況が変わった。高齢者の孤独死が増えているというのだ。
高齢者に限ったことではないがコロナへの感染を恐れて通院を控え、持病が悪化したというケースは多く聞かれる。それが心臓疾患や脳卒中などでは突然死につながる。コロナに感染していても、PCR検査を受けられないまま重症化して死亡する“隠れコロナ死”の可能性もある。
高齢者の孤独死が増えた理由について、塩田社長は、
「近隣の住民も含め、見守り態勢が崩壊したことが大きな要因だと考えられます」
と話す。地域での集まりやゲートボールといったレクリエーションも減り、互いに近況を確かめ合う機会が極端に減っているのだ。
塩田社長が続ける。
「離れて暮らす身内の人も、コロナの影響もあり、様子を見に行きにくい状態になっています。このため遺体の発見が遅れています。孤独死の場合、通常、遺体が見つかるのは1、2週間後でしたが、いまは3、4カ月後が当たり前になっています。都内にはまだまだ見つかっていない人(遺体)がたくさんおられるはずです」
特に発見されにくいのは、気密性が高い分譲マンションで、中でも一番端の部屋は、玄関ドアの前を人が通らないので気づかれにくいという。