

10月8日に初公判が開かれた池袋暴走事故。車いすで法廷に現れた飯塚幸三被告(89)は「車に異常」と無罪を主張した。ワイドショーなどでは車のせいにした飯塚被告への批判の嵐となった。お笑い芸人カンニング竹山さんはこのことに「ちょっと待て、それは違う」と言う。
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今週ずっと考えていたのが、2019年4月に起きた池袋暴走事故の初公判後の報じられ方なんです。じいさんが起こした暴走事故で、お子さんとお母さんが亡くなり9人もの負傷者を出しているから、それは重大な事故だと思うんですよ。事故を起こした人物が憎いという感情は理解できる。
ところが、裁判が始まったじゃないですか、事故を起こした本人が「車がおかしい」って言い出したわけですよね。コンピューターでデータ取ると、本当にブレーキを踏んだ形跡がないだとか、アクセルを踏みっぱなしなデータとか出ていて。おそらくですけど、想像できるのは、年齢による記憶していることの違いというか、事故直後は興奮状態でもあるだろうし、パニクって記憶がないのであろうというのが一般的な考え。メディアでもそう報じているところもある。
僕も、じいさんの記憶違いの問題だとは思っている。でも、ニュースやワイドショーなどでの初公判の取り上げられ方を見ていて、「でも、これ、まだ裁判中でしょ?」っていうことをずっと考えている。じいさんの記憶違いなんだろうけども、推定無罪の原則があるわけじゃないですか。裁判で有罪が確定するまでは「罪を犯していない人」なわけです。
メディアがこぞって、なんだったらメインのMCも出演者もみんなで、「車に異常」と無罪を主張したことに怒っている方向で取り上げているんですよね。僕も自分の個人的な感情は事故を起こした人は憎いという気持ちです。ただ、これ、まだ裁判中だからね。
初公判で、「ブレーキとアクセルを踏み間違っていない。事故を起こした直後は踏み間違いだって言ったけれども、車の故障だ」って言い出している。それは罪を逃れるために嘘ついてんだろって論調で報じられているんだけど、一方で車の故障だって裁判で言っているのであればメディアは裁判中は公平性を保って、完全な公平でなくてもいいかもしれないけど、車のメーカーはなんて言っているんだっていうのも取材しなければいけないし。ネットではつぶやかれていたけど、車の故障だというなら被告は車メーカーを訴えろよってなる。もしかしたら、車メーカーを訴える準備をしているかもしれない。それは定かではないけれども。