「新型コロナウイルスの影響で認知機能が落ちている」
【2つ以上該当なら注意!認知症の初期症状・チェックリストはこちら】
『認知症にならない29の習慣』(朝日出版社)などの著書がある諏訪中央病院(長野県茅野市)名誉院長・鎌田實さん(72)は、同年代の患者を診察するとそう感じる。実際、日本老年医学会と広島大が8月、コロナ禍による外出自粛や面会制限で認知症の人の症状や状態が悪化していたとする調査結果を発表している。
鎌田さんは半世紀近く前に長野県に赴任。食事や運動など生活習慣の改善を指導し、長寿県に導いた。その鎌田さんが言う。
「たんぱく質をしっかり取ることは、認知症にならないためにものすごく大事です」
肉類や高野豆腐、1日2、3個の卵などを勧める。卵には、認知機能の維持にいいとされるコリンも含まれている。
野菜をたっぷり取ることも大切だという。野菜には老化を進める活性酸素を抑える抗酸化力があり、認知機能の低下を防ぐとみられているからだ。
とはいえ、国が推奨する1日350グラムの摂取はハードルが高い。鎌田さんが実践するのは、野菜をジューサーにかけて朝飲んだり、具だくさんみそ汁を食べたりすること。ジュースには野菜220グラムのほか、牛乳か豆乳、ときにリンゴかバナナを入れて飲みやすくしているという。
さらに、「食事のときに一品入れることが大事です」と鎌田さんが勧めるのは、ネバネバした食べ物だ。血糖値が急上昇すると、血管や脳細胞が慢性炎症を起こしやすくなり、認知症リスクが高まる。そこで、納豆やオクラ、コンブといった糖の吸収を穏やかにするものを一緒に取ることで、血糖値の急上昇を防ぐ。
楽しく食事するためには口腔ケアも欠かせない。鎌田さんは、こう話す。
「肉を食べるのはいいが、食べられるかは口腔機能がうまくいっているかです」
高齢で歯が悪くなると硬いものを食べるのが難しくなる。虫歯のある人に認知症が多いというデータもあるという。鎌田さんは、いつまでも歯をきれいに保つことが大切だと強調する。