長谷川一明(はせがわ・かずあき)/1981年、東京大学法学部卒。国鉄入社後87年からJR西日本。常務、副社長などを経て2019年12月から現職(撮影/写真部・東川哲也)
長谷川一明(はせがわ・かずあき)/1981年、東京大学法学部卒。国鉄入社後87年からJR西日本。常務、副社長などを経て2019年12月から現職(撮影/写真部・東川哲也)
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コロナ禍で鉄道利用者が激減し閑散としていた5月のJR大阪駅前。長谷川社長は「今後もV字回復は難しい」と話す/5月7日午前9時58分、大阪市北区 (c)朝日新聞社
コロナ禍で鉄道利用者が激減し閑散としていた5月のJR大阪駅前。長谷川社長は「今後もV字回復は難しい」と話す/5月7日午前9時58分、大阪市北区 (c)朝日新聞社

 コロナ禍による利用者の激減で苦境に立つ運輸業界。鉄道各社は今年度の巨額赤字を見込む。AERA 2020年10月26日号は、全国に先駆けて終電繰り上げを発表したJR西日本社長に見通しを聞いた。

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 全国の鉄道会社に先駆けて終電の繰り上げを発表したJR西日本。背景には巨額の赤字見通しがある。長谷川一明社長(63)がその真相を語った。

──今年度決算の純損益が2400億円の赤字になるという見通しを発表しました。

 4月以降は新幹線は前年比7割減、京阪神圏の近距離のお客様は3~4割減、定期のお客様が2割減という状況です。年明けにはワクチンや治療薬が開発され、社会的な安心感が出てくることで徐々に回復するとみており、3月には新幹線で前年比4割減程度まで戻るのではと。それでも大変な赤字見通しが避けられませんでした。

──来年度以降はどの程度回復すると見ていますか。

 従来の形の鉄道利用に戻ることはないと考えています。良くて9割程度ではないでしょうか。従来の営業利益率が12%程度でしたから、お客様が十数%も減ってしまうと、これはもう利益を出すのが大変厳しくなる。

 もちろん、少子高齢化と人口減による乗客減少への危機感は持っていましたが、10年後に想定していた「あまり来てほしくない未来」が突然現れたという状況です。2020年の翌年が2030年だった、ということなので、これまでのやり方を大幅に変えるしかありません。

■安全とコスト削減両立

──コスト削減策の一つが、終電の繰り上げですね。

 元々は昨年秋に、線路の補修作業時間を確保するために終電を早めることを検討したいと世の中に問題提起をし、アンケートなども進めてきました。そこにコロナ禍が重なった。深夜0時以降のご利用というのは従来も全体の1%未満だったのですが、今年度はこの部分のご利用が他の時間帯に比べても加速度的に減少しています。この状況を受けて、21年春のダイヤから最大で30分の終電繰り上げを行うことにしました。

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