どうしてインプラントは排除されないのでしょうか。


 
 インプラント治療で人工歯根として使用されるのは、金属の「チタン」や「チタン合金」です。

「チタン」には「生体親和性が高い」という特徴があり、からだの中に入ってきても、からだはチタンをからだの一部として認識します。人間のからだ(生体)になじんでしまう(親和する)性質があるのです。

 したがって、チタンを人工歯根として骨に埋め込んだとしても、からだは金属だと気づかずに骨と認識し、時間がたつにつれて骨と結合していくのです。
 
 実は古くから金属やセラミックを人工歯根にする考え方はありましたが、どの材料も骨と結合しませんでした。

 しかし、1950年代にスウェーデンの医師であるペル・イングヴァール・ブローネマルク先生が、チタンが骨と結合することを発見したのです。そしてチタンを人工の歯根として使うことを思いつき、インプラント治療を確立させたのです。その後、現在まで改良が重ねられ、世界中に普及していきました。
 
 チタン製のインプラントが骨に埋め込まれると、骨とインプラントの間に徐々に新しい骨が形成されます。そして、素材や部位、個人の骨質にもよりますが、2~6カ月ほどで骨の中にインプラントが完全に固定されます。
 
 インプラント治療は、こうした「チタンの特性」があってこそ成り立つ治療なのです。

 ただし、インプラントが異物ではないとからだに認識させるためには、インプラントが清潔でなければいけません。そのために、手術の際には、その点に細心の注意を払う必要があります。だから、手術器具や環境の滅菌・消毒などを徹底しておこなうのです。

※『「かめる幸せ」をとり戻す』より抜粋