アルジェリアで起きた人質事件は、日本人17人のうち、10人が殺害されるという悲惨な結果に終わった。ジャーナリストの田原総一朗氏は、武装テロ集団による人質を取った今までの占拠事件との違いをこう分析する。
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アルジェリアは1962年にフランスから独立した。その後、混迷の中で独裁政権が続いていたのだが、80年代の後半に独裁政権打倒の大規模デモが起きて、民主的な選挙が行われるようになった。ところが、91年の総選挙でイスラム原理主義政党が圧勝すると、軍部がクーデターを起こし、選挙結果を無効化したことから、これに反発するイスラム武装勢力と政府軍との約10年に及ぶ内戦に陥った。10万人とも20万人とも言われるアルジェリア国民が、内戦の犠牲となった。
99年に就任したブーテフリカ大統領は武装勢力に和解を呼びかけ、内戦をほぼ終息させたが、テロリストたちは現在も少なからず存在している。政府の弱みが露呈すれば、再び内戦状態に突入する可能性は十分ある。しかも、隣国のマリでは、過激派とフランス軍との戦闘状態が続いている。
だからこそ、アルジェリア政府としては、「(テロリストと)交渉はしない。それが我々の原則だ」という態度を崩せなかったのだろう。そして、日本を含めた先進国は、人質が多数犠牲になろうとも、それを承認せざるをえなかった。
だが、先進国がイスラム原理主義を敵視し、軍事力で抑えつけている現政府を安易に支持し続けていると、思わぬしっぺ返しをくらう可能性もある。強圧的な政治に不満を抱いている国民たちの強い不信を招き、取り返しのつかない事態となるかもしれない。
※週刊朝日 2013年2月8日号