指導した北島康介選手、萩野公介選手が、計五つの五輪金メダルを獲得している平井伯昌・競泳日本代表ヘッドコーチ。連載「金メダルへのコーチング」で選手を好成績へ導く、練習の裏側を明かす。第42回は「国際リーグ」について。
【写真】短水路日本選手権女子200メートル個人メドレーを日本新記録で制した大橋悠依選手
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ハンガリーの首都ブダペストに来ています。競泳の国際リーグ(ISL)に初参加する「東京フロッグキングス」のコーチとして、チーム対抗戦に挑みます。
欧米の8チームで昨年発足したISLは、国際水泳連盟(FINA)とは別組織が運営する短水路(25メートルプール)で争う賞金大会です。今年から日本とカナダの2チームが加わり、10~11月にブダペストで集中開催されます。
北島康介ゼネラルマネジャー(GM)が「新しい水泳の価値をつくる」というISLの趣旨に賛同して創設した「東京フロッグキングス」は、主将の入江陵介、私が指導している萩野公介、大橋悠依ら日本のトップスイマーを中心に、ロシア、ベネズエラ、ギリシャなど海外の選手もメンバーに加わっています。
毎年この時期に開かれているFINAのワールドカップ(W杯)が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になったため、ISLは海外のトップ選手と競い合う貴重な機会です。世界各地から選手が集まるので感染防止策は徹底されています。私たちのチームは日本を発つ前に全員PCR検査を受けました。ブダペストでもホテルやプールなど行動範囲の制限があり、大会は無観客で行われます。
予選リーグは4チームによる2日間の対抗戦を4戦行います。勝ち上がれば準決勝に進み、11月21、22日に決勝があります。
選手たちにはまずISLの舞台を大いに楽しんでもらいたい。これだけ短期間に練習とレースを繰り返す経験はなかなかできません。コーチとしても初めての経験を楽しみたいし、世界各地のコーチや選手との交流を深めていきたい。