「負けたのか?」
【写真】菅首相にスル―された自民党大阪府連の思わぬ援軍はこちら
「ウソ、そんなはずない」
審判が下った瞬間、落胆の声やすすり泣きが一斉に響き渡った。
大阪市を廃止し、特別区を設置するか、否かを問う「大阪都構想」の住民投票が11月1日に実施されたが、反対多数となり、否決された。
大阪都構想は大阪維新の会の創立者で元大阪市長の橋下徹氏が提唱。前回の2015年に続き、2度目の挑戦だったが、維新の悲願は市民の手によって阻まれた。
会見した大阪維新の会の松井一郎代表は敗北を認め、「大阪市民の判断を受け止める。2度目の敗北は僕の力不足です」とし、かねて公言していたとおり、「今回の任期を終えたら政界を引退する」と明言した。
同じく会見した大阪維新の会の吉村洋文代表代行も「大阪市民の民意を受け止めます。僕自身が大阪都構想に再チャレンジすることはない」と硬い表情で語った。
全国的にみると「大阪の住民投票」と永田町や霞が関は冷ややかに傍観していた。その中で唯一、固唾をのんで情勢を見守ったのは、菅義偉首相だった。
「菅首相ひとりだけが大阪都構想の動静を気にしていた」(自民党ベテラン議員)
大阪維新の会、日本維新の会代表である松井大阪市長と太いパイプを持つ菅首相。
「松井さんが自民党の大阪府議時代から菅さんと親しかったと聞いた。2人は携帯で直にやり取りするツーカーの仲。菅さんが官房長官時代から松井さんと一緒に安倍前首相と橋下氏と食事会をするなど蜜月をアピールしていた。維新と関係が悪い自民党の大阪府連はじめ、二階幹事長も大阪都構想にはもともと反対。だが、菅さんが維新びいきだからみな、関わりたくないのが本音だった」(近畿の自民党国会議員)
そのため、自民党の大物議員が応援に入ることもなく、大阪では大阪都構想に反対を唱える自民党の大阪市議団らが孤軍奮闘した。
「大阪都構想が告示されて以降、菅首相はつらそうだった。自民党の大阪府連が反対している手前、大っぴらに維新を応援するワケにもいかない。国会答弁でも無関心を装ったが、側近の議員や官僚にこっそり、大阪都構想の賛否に関する世論調査の情報を入手していた。しかし、側近が動けば、菅首相の維新びいきはバレバレだった」(自民党幹部)