【5-1】の場合、「汗を流した後」が「ジョギングをして」と読点でと分離され、「会社に行った」という要素と結び付いています。そのため「ジョギングをした後に、シャワーを浴びて汗を流した」と読むことができます。【5-2】は「汗を流した後」が「ジョギングをして」と結び付いているので、「ジョギングをしてひと汗かいた後」、「会社に行った」という具合に読むことができるのです。
文の要素を加えながら、五つの例における読点の役割を見てみました。要素をどう捉え、どこに読点を打つのかによって、文意が変化することがおわかりになったかと思います。読点は、感覚的なものではなく、文の要素を明確に伝えるためのファンクションなのです。
前田安正(まえだ・やすまさ)
未來交創株式会社代表取締役/文筆家
朝日新聞元校閲センター長/用語幹事
早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了
「漢字んな話」「ことばのたまゆら」「あのとき」など、十数年にわたり朝日新聞に漢字や日本語に関するコラム、エッセイを連載。
「文章の書き方」など、企業・自治体の広報研修に多数出講。テレビ・ラジオなどにも数多く出演している。
<著書>
9万部超の『マジ文章書けないんだけど』(大和書房)を始め、『漢字んな話』(三省堂)、『間違えやすい日本語』『しっかり!まとまった!文章を書く』(すばる舎)、『3行しか書けない人のための文章教室』『ヤバいほど日本語知らないんだけど』(朝日新聞出版)、『使える!用字用語辞典』(共著・三省堂)など多数