メディア第1陣を乗せた自動運転バスが里山ガーデンフェスタを出発(撮影/岸田法眼)
メディア第1陣を乗せた自動運転バスが里山ガーデンフェスタを出発(撮影/岸田法眼)
自動運転中、乗務員は車両の中央に立ち、安全確認に余念がない(写真/岸田法眼)
自動運転中、乗務員は車両の中央に立ち、安全確認に余念がない(写真/岸田法眼)
非常時に備え、乗務員はサイドブレーキのレバーをひたすら握る(写真/岸田法眼)
非常時に備え、乗務員はサイドブレーキのレバーをひたすら握る(写真/岸田法眼)
里山ガーデンフェスタで、通常の無料シャトルバス(左)と自動運転バス(右)が並ぶ(写真/岸田法眼)
里山ガーデンフェスタで、通常の無料シャトルバス(左)と自動運転バス(右)が並ぶ(写真/岸田法眼)

 近年、自動車業界は自動運転の実用化に向けた開発が進められている。実用化されれば、ドライバーの負担が低減され、事故が大幅に減少することが期待されている。

【写真】自動運転緊急時に備え乗務員がやっていることは?

 一方、バス業界も自動運転の実用化に向け、開発が進められている。神奈川県を拠点にする相模鉄道系列の相鉄バスは、将来の運転士不足を懸念し、2019年から自動運転の実用化に取り組んでいる。この度、2回目の実証実験が行われ、発展途上ながら、その成果を味わってみた。

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■開発2年目で画期的なシステムを開発

 相鉄バスと群馬大学は2019年4月26日、大型バスの自動運転に関する共同研究契約を締結したことを発表し、レベル4(高度運転の自動化)に向けた研究、開発を進めることになった。

 自動運転に使われる車両は、相鉄バスが日野自動車のブルーリボンを1台購入後、全方位カメラ、レーザーセンサー、遠隔監視カメラ、GNSS受信機などを搭載する改造を行う。

 群馬大学の准教授で、研究・産業連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センターの副センター長を兼務する小木津武樹氏に、鉄道のATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)運転の技術を採り入れているか伺ってみた。

「鉄道の考え方は、私も意識して運用しています。自動運転のバスは大量に輸送する輸送手段というところで、運転士が乗務する通常の路線バスよりも安全、安心、確実性を求められています。今後も飛行機や鉄道など、周辺のモビリティーの技術にも幅広く目を向けて、自動運転の運用をより安定していきたいと考えています」

 このように、現在のシステムにATOのシステムは採り入れていないものの、鉄道で実用化されている技術には注目しているようである。

 開発は思いのほか早く、レベル2(部分運転自動化)まで進み、2019年秋によこはま動物園~里山ガーデン(約900メートル)で、営業運行による実証実験が行われ、16日間で4907人が乗車した。

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