一方、地上波では最近、「美容芸人」としての露出も急増中だ。テレビや雑誌でメンズ美容を詳細に語る機会が増え、「美容ネタは井戸田さんの新たな武器になりつつある」と放送作家は太鼓判を押す。

「井戸田さんは芸人界いち美容には気を遣っていることで有名です。保湿やリフトアップを毎日こなし、起きているときはずっと美顔ローラーをするほどの力の入れよう。そこまで努力しているからなのか、47歳にしてはとてもキレイな肌質をしてますよね。現場でもメイクさんや共演者に美容に関する質問をしたりと、美容意識がすごく高い。このままちょっとした整形ならやりそうなほど、美への憧れが強いようです。実際、出演時はほとんどメイクをしないようですし、“美しすぎる50代”を目指して日々美容に磨きをかけているそうです。メンズ美容は今後もっと伸びる業界。第二次ベビーブームの視聴者が50代になろうとしており、アンチエイジングを中心にニーズはすごく高まるため、いま美容芸人というポジションを確立できると、今後のビッグビジネスにつながるはず。ハンバーグ師匠とはまた違った武器を手に入れそうです」

■ゴールデンでの冠番組はまだないが

 気になるのはスピードワゴンとしての今後だ。相方の小沢一敬はその独特すぎる世界観から「SEKAI NO OZAWA」と形容され、一時は単独出演も多かったが……。

「『アメトーーク!』の企画をきっかけに、いわゆる“セカオザ”としてピンでもブレイクした小沢さんでしたが、それも2015年のこと。最近ではむしろハンバーグ師匠としての露出が多い。本人はいたってどこ吹く風といったスタンスですが、セカオザよりもハンバーグ師匠のほうがわかりやすく、笑いが取りやすいという判断をスタッフサイドがしたんでしょう。スピードワゴンとしては結成22年、すでにベテランコンビの域ですが、ゴールデン帯で冠番組も持つまでには至っていない。M-1グランプリの初期では決勝に進出して場を沸かせた2人なので、漫才の技術は相当高い。今後、井戸田さんがより露出を増やし、小沢さんがそれに引きずられて本来の実力を発揮したときこそ、このコンビが覚醒していくという将来を期待しています」(前出の放送作家)

 お笑い評論家のラリー遠田氏はスピードワゴンやコンビの関係性についてこう語る。

「スピードワゴンは『M-1グランプリ』でも2年連続で決勝に進んだ経験のある実力派漫才コンビです。テレビタレントとしてある程度売れるとネタをやらなくなる芸人も多いのですが、彼らは自分たちが主催の漫才ライブを行っていて、今でも新ネタを作り続けています。小沢さんは漫才の中では自由奔放なボケで井戸田さんを振り回していますが、その関係性はテレビに出るときにも変わりません。小沢さんが独特の感性で突拍子もないことを言ったり、ほかの人の話の腰を折ったりすることもよくあります。井戸田さんは、そんな小沢さんの暴走に対処していくうちに、自然とツッコミの腕が磨かれていったのだと思います」

 コンビ揃ってアラフィフでのさらなるブレイクの可能性は十分ありそうだ。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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