京都大学卒業後、毎日新聞社に入社し、大阪本社社会部、東京本社社会部、テヘラン特派員、「サンデー毎日」編集長を経て、現在はテレビキャスター、コメンテーターとして活躍する鳥越俊太郎さん。鳥越さんにとっての旅と、その必需品を聞いた。

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 僕は新聞記者でしたから、観光っていうより、仕事で外国にいた記憶のほうが強いですね。イラン、イラク、カンボジア、ベトナム、ラオス……大変なところばかり行きましたが、知らないところへ行くのは、まったく苦にならない。というより、知らないところへ行きたいっていう人間です。僕が学生だった頃は、簡単に外国へなんか行けなかったから、新聞記者になってから初めてヨーロッパへ行ったときは、うれしかったなあ。外国文化がとにかく憧れだった。

 Tシャツも、今の人にとっては当たり前のものでしょうが、僕が若い頃は、アメリカ文化というか、かっこいいものだった。だからというわけじゃないですが、旅先には必ず持っていくか、現地で買います。それも大きいやつ。外国のサイズでLとかLLとか、一番大きなものを買います。Tシャツがあると、室内着にしたり寝間着にしたり、いろいろ便利ですよ。浴衣とかパジャマとか、面倒でしょう。前がはだけるとか、首まわりが窮屈だとか。僕は、冬でも室内では半そでTシャツにパンツ。それが体に楽なんです。

 Tシャツと取材道具だけ入れたバッグ一つ持って、今までいろんなところへ行きましたけど、特に思い出深いのは、テヘラン支局時代だな。もし昔に戻れるなら、あの頃に戻りたい。楽しいこと、怖いこと、いろんなことがあった。充実していました。44、45歳くらいでしたけど、僕にとっては、青春だった。

週刊朝日 2013年2月15日号

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