医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう批判する。

「コロナで打撃を受けた観光業や飲食業を支援したいという政府の思惑は理解できますが、感染対策なきGo To継続は無謀すぎます」

 上医師は、最優先すべき課題は「無症状感染者対策」だと指摘する。

「第3波では若い無症状の感染者が増えている。彼らがGo Toを通じ感染を広げてしまった可能性が高い。世界の潮流は無症状の人にもPCR検査を実施し、感染者を見つけて行動を自粛してもらうこと。しかし、厚生労働省は無症状の人の検査に消極的で公費扱いにもしない。結果として感染を再拡大させ、経済対策にも失敗するのです」

 一方、再び強まる「自粛強化」にも難点がある。東京都では飲食店などに20日間、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請。大阪市や名古屋市でも一部地域で時短要請がなされたが、業者らは再び苦境に立たされる。

「自粛強化」を一気に進めるべきか、あるいは、ブレーキは最小限に抑え、経済との両立を目指すべきなのか。難しいかじ取りが求められている。

(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日12月11日号より、一部加筆

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