本格的な冬が到来し、日本列島がコロナ「第3波」に見舞われている。急増する重症者に医療は逼迫。だが、政治家たちのメッセージは「経済が大事」「感染対策が大事」と、ブレブレで、国民は戸惑うばかり。日本はどんな道を歩むべきなのか。
新型コロナ「第3波」の感染爆発が止まらない。全国の1日の新規感染者数が2千人を上回る日が続出し、11月28日に過去最多の2653人を記録。注目すべきは重症者数の急増だ。28日の全国の重症者数は435人と、第1波ピーク時の328人を大きく上回っている。各地で医療体制も逼迫してきた。
危機感を募らせる政府の新型コロナ感染症対策分科会は25日、東京や大阪など「ステージ3(感染急増)」と判断された地域で「出発分」を含むGo To トラベル事業の縮小を求めたが、政府の反応は鈍かった。
26日、加藤勝信官房長官が記者会見で「事業をどうしていくかは不断の検討がなされている」などと答えをはぐらかし、菅義偉首相に至ってはGo Toについて報道陣の質問を無視して立ち去った。
27日夜になってようやく、菅首相が大阪市と札幌市の「出発分」について国民に自粛を求めたものの、東京については「国が判断すべきだ」として動かない小池百合子東京都知事とのにらみ合いが続く。政治ジャーナリストの野上忠興氏はこう指摘する。
「『危機管理に長けたレジェンド・菅』のメッキが、剥がれたということか。首相就任以来、コロナ禍対応は中途半端かつ後手が目立つ。国会に臨んでも、官僚が作成した答弁を棒読みで、覇気もなければ気概も感じず、心もこもっていない。社会不安が増大するなか、国民を安心させるビジョンを語ることもできない。Go To事業の見直しもこのままでは感染拡大を長引かせるだけです」
11月13~26日の2週間の新規感染者数は日本が2万6570人なのに対し、韓国は4754人、中国は188人、台湾は36人。欧米ほどではないが、東アジアの中で日本だけが突出して感染を増やしている。対策に誤りはないのか。