コロナ禍も後押しして、今、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せている。仕事の幅を広げるためプログラミングを学ぶ社会人や、社員向けにプログラミング講座を取り入れる企業も出てきた。その一方で、コロナ禍の不安定な世の中で、手に職をつけるためにエンジニアを目指す人もいるという。AERA 2020年12月7日号で取材した。
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先行き不透明な中、求人数が多いエンジニアへの転職や、副業での収入増を目指してプログラミングを学ぼうという動きもある。エン・ジャパンが運営する「エン エージェント」マネージャー、藤村諭史さん(37)によると、小売りや旅行業界などダメージが大きい業界などからの転職希望者が増加。「エンジニアなど在宅でも働ける、手に職をつけたい人が明らかに増えています」(藤村さん)
とはいえ、採用自体を凍結している企業が少なくない中、未経験での転職はハードルが高い。エンジニアは以前から企業の争奪戦が続き、dodaが発表する10月の転職求人倍率も、全職種の平均1.65倍と比べ、技術系(IT・通信)は6.64倍と高水準だ。しかし、コロナ禍以降、企業は育成コストを抑えるため、エンジニアでも経験者採用にシフトしている。
一方、IT関連の人材不足は深刻化している。経済産業省の調査によると、IT関連人材は30年には45万人不足するとの試算もある。藤村さんは、今後もこうした傾向は加速するとみている。
「IT業界以外でのIT系職種の求人が増えています。小売りはEC化、医療では遠隔診療、営業も遠隔が進んでいますし、テレワークの浸透でセキュリティー関連の人材需要も伸びています。今後企業で人材育成が遠隔でできるようになってくれば、未経験のエンジニア採用も再開すると予想しています」
さらに、企業での実務経験がなくてもスキルを高められ、収入増につなげられるチャンスも広がる。