安倍前首相への検察の任意聴取要請、元農林水産相の不正献金疑惑……。形勢不利な与党だが、野党の追及はどこか物足りない。ただ、立憲民主党の枝野幸男代表は「次の国会では逃がさない」と自信を見せる。田原総一朗氏がその戦略を探った。
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田原:桜を見る会の問題が再燃している。会前日の夕食会で、安倍晋三前首相側が参加費の一部を補填(ほてん)した疑惑で、東京地検特捜部が安倍さん自身の任意聴取を要請した。首相時に言っていたことと実態が違うんだから、少なくとも国会に出てきて説明するべきだ。なんで野党はもっと強く言わないのか。
枝野:政治資金規正法違反の疑いで、まずは年内には秘書が処分されるでしょう。そうなれば事実関係が確定できます。そのうえで「嘘をついていましたよね」と追及するつもりです。現時点では「捜査中だから」と、事実関係を答えないという逃げ方ができてしまう。処分が固まれば、もう逃げられません。
田原:僕は下手すると、検察と安倍さんの間で、すべて秘書の責任にするという話ができているんじゃないかと思う。
枝野:そうだと思います。ですが、問題は安倍さんが国会で嘘をつき続けてきたこと。決着はおそらく秘書どまりでしょうが、刑事責任がはっきりしたら当然、安倍さん本人の政治責任の問題になる。そこからが本丸です。
田原:では、本格的な追及は次の国会から?
枝野:ということです。
田原:菅義偉首相の後援者によるパーティーの政治資金収支報告書への不記載疑惑や吉川貴盛元農林水産相の不正献金疑惑もあった。
枝野:菅さんの件に関しては、本人の主催ではないですし、現時点では何とも言えないです。国会対策委員会がチェックしているでしょうが、どのくらいの問題になるのかはこれからです。党を挙げてやるのか、国対レベルでやるのか。何でもかんでも食いつくのは違うと思う。吉川さんの件も同様です。
田原:新型コロナへの菅政権の対応について聞きたい。Go Toはかなり波紋が広がっている。