「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
* * *
食料や日用品の購入だけではなく、電気やガスなどの公共料金の支払いで、コンビニを利用される方も多くいらっしゃいます。支払期日に慌てて駆け込んだ経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。平成の30年間のなかで、収納代行の担い手は、銀行や郵便局からいつでも支払うことができるコンビニへと移行してきました。
今やコンビニのサービスのひとつになった収納代行ですが、昨年、経済産業省の有識者会議の中で「適正な対価が支払われているのか」といった問いかけがありました。
30年間で人件費は倍になりましたが、手数料は変わらない。今後もコンビニが社会インフラとしてあり続けるためには、事業者から手数料として支払われる料金の見直しが必要だと、コンビニ各社で議論を重ね、各社が加盟している日本フランチャイズチェーン協会から今年10月に、200以上の事業者に料金見直しをお願いする依頼書を送付しました。事業者側にはコストにつながる話ですが、ご理解をいただけるよう協議を重ねていければと考えています。
短期的には手数料を引き上げ、加盟店のみなさんにサービスに見合った対価を。中期的には、デジタルを活用した収納代行の在り方に変えていく。用紙のミシン目の切り取りや収納用紙の保管は、お店の負担にもなります。システム整備や個人情報保護など、法的にクリアしなければいけないことは多々ありますが、今こそ取り組むべき課題です。
実は、以前に収納代行を自動処理できる機械を作ったことがありました。ところが、紙の種類が事業者によって異なるため、莫大なコストに。技術が発展した今なら、違うことができるかもしれません。社会インフラとして何が求められているかを常に意識しながら、現状に甘んじることなく、効率化とお客様の利便性を追求していきます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2020年12月21日号