竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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夕夜間強化のため、冷凍食品にも力を入れています (c)朝日新聞社
夕夜間強化のため、冷凍食品にも力を入れています (c)朝日新聞社

「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】夕夜間強化のため、冷凍食品にも力を入れています

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 明けましておめでとうございます。2021年も本連載をよろしくお願い申し上げます。

 昨年は予想だにしなかった新型コロナウイルスの感染拡大で、日本だけでなく世界が大転換を迫られる一年でした。ワクチン開発は進んでいますが、即アフターコロナとはいかないのも現実です。

 ローソンも、大きな転換を迎えました。コンビニ需要の鍵を握る人出が止まったことで、ビジネス街や繁華街を中心に来店客数が激減。大きな影響を受けました。一方、近場で買い物を済ませたいという需要が生まれたとも感じています。

 コンビニ業界には古くから、「朝ピーク」と「昼ピーク」という二つの言葉があります。ローソンでは数年前から「夕夜間ピーク」もつくりたいと、生鮮食品やフライドフーズなどを強化してきました。

 また、昨年は「ローソンのあの靴下がはきたい」と選んでいただける存在になりたいと、下着や文具など日用品にも力を入れ、無印良品さんとも提携。こうした取り組みが、コロナ禍で一気に加速。私たちが目指していたローソンの価値を最大化できるチャンスが訪れたと捉えています。

 お客様の変化に合わせ、様々な改革を進めてきましたが、制度によってできていないこともあります。デジタルを活用した非対面での薬の販売もその一つです。オンライン診療は普及してきたものの、薬は対面でなければ販売できないものがまだまだ多い。ノンデジタルの時代にできた規制によって提供できないサービスは、他にもたくさんあります。

 今年はデジタル庁が設置されるなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)の面での転換期になると期待しています。ローソンとしても、この流れをしっかりつかんで、街の日常生活をすべて背負える存在を目指していきます。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2021年1月11日号