AERA 2021年1月11日号より
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 発足当初は高い支持率を誇った菅内閣だったが、学術会議問題などから支持率は急落。安倍前首相の「桜を見る会」問題が追い打ちをかけ、強力な浮上策も見当たらない。AERA 2021年1月11日号の記事を紹介する。

【写真】安倍政権の「番人」と言われながら失脚した高級官僚はこの人

※【「桜を見る会」問題で安倍前首相が国会での答弁を修正し謝罪 当時の対応に首をかしげる側近も】より続く

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 野党は通常国会で引き続き、「桜を見る会」問題に関して安倍前首相の証人喚問を求めることで一致している。だが、自民党は昨年末で幕引きを図ることに必死だった。

 なぜなら発足直後、朝日新聞の世論調査で65%だった政権への高支持率が、わずか3カ月で大幅下落。今後、30%を割り込めば政権運営そのものが危険水域に突入するからだ。

 この下落の要因は言うまでもなく、菅義偉首相の新型コロナウイルス対策での指導力不足だ。中でも下落の決定打は、イベントや帰省で人の移動がピークを迎える年末年始を見据えて、早々に「Go Toトラベル停止」に踏み切れなかったことだ。その結果、予想されていた通り、昨年末には1日に4千人近い感染者を出してしまったのだ。

 ある自民党関係者は、菅首相が語った「アクセルを踏みながら、ブレーキをかける」という一貫性のない対応について、こういぶかった。

「菅さんは決定的に間違った。年末はそもそも医療従事者そのものが手薄になり、医療機関が逼迫(ひっぱく)しやすい時期。そこに感染のピークをもってきてしまった。取り返しがつかない。結果として地方経済も疲弊し、この数カ月の全ての政策が台無しになってしまった。結果を出すと言いながら、結果を出せない。まさに菅さんの指導力が問われているのです」

■支持率下落に追い打ち

 自民党の中堅議員の一人は、下落した支持率を回復させる手立てが事実上ないことが最悪だと指摘する。

「深刻なのは12月15日の臨時閣議で73.6兆円の追加経済対策を含む、第3次補正予算案を閣議決定した以降に支持率が下がり続けているということです。これを出してもダメなら、来年度予算が成立するまでの間、全く打つ手がなくなる。支持率をプラスに転じる材料がなにもないのです」

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