大阪産業大学が、補助金カットを免れるために行っていたという「不正入試」。入学者を入学定員の「1.3倍」(2009年度は経措置で1.37倍)以下にするため、付属校の優秀な生徒を使って外部からの受験生を落とし、入学者数を調整しようとしたというのだ。ノンフィクションライター西岡研介氏と週刊朝日取材班の取材に、告発グループの一人である大産大現役職員が「不正の工程」を話す。
「不正入試を考案した入試センター幹部はまず、大産大の森山信一・副理事長(当時)に話を持ちかけた。森山副理事長は当時、学園の資産運用の総責任者と同時に、現在に至るまで大阪桐蔭の校長ですから。しかし、大阪桐蔭では07年に、一部の生徒の受験料を負担して複数の大学を受験させ、合格実績を水増ししていた問題が発覚し、マスコミから散々叩かれた。これ以上、危ない橋を渡りたくなかった森山副理事長は、古谷七五三次(ふるたに・しめじ)・理事長(当時)に相談。大産大付属高校(以下、産高)に不正入試をさせることを決め、古谷理事長が直接、産高の平岡伸一郎・校長と越智雅之・教頭(当時)に指示したんです」
しかし、実際に不正入試に関与した産高関係者はこう証言する。「平岡校長はただのイエスマンで、不正入試を仕切る腕力などなく、すべて越智教頭に丸投げしたんです」。
この関係者が続ける。「産高には、1年生の時から国公立大や難関私大への進学を目指す『特進コース』があり、『特進』のクラスには『A』という頭文字がつくんです。越智教頭はそのうちの『3A1』、つまり3年生の『A1』クラスと『3A3』クラスの担任に対し、特に成績が優秀で、すでに国公立大や関関同立などに推薦入試で合格している3年生をピックアップするように指示。両クラス合わせて十数人の生徒が、不正入試の“要員”に選ばれたのです。大学の入試センターからは『(1.3倍を超えないように)三十数人分を受けさせてほしい』との“発注”がありました。つまり外部の高校から、経営学部の一般入試を受ける受験生30人以上を落とせ、というわけです」。
※週刊朝日 2013年3月29日号