被写体としての顔、俳優としての顔、2020年は新しい扉を開け続けた一年だった。「求められるものに120%報いたい」。あざとさも際どさもストイックだからこそ表現できる。AERA 2021年1月11日号から。
* * *
写真集、ドラマ出演、トーク番組のMCなど、昨年は活躍の場を広げた一年だった。
田中みな実(以下、田中):たとえば、「M 愛すべき人がいて」の役は、眼帯という見た目のインパクトで、どんな方が演じても話題になったと思います。「イロモノ」としての需要に応えた、という自覚はあるんです。写真集はそれが大ヒットしたと聞いても、いまいち自分のこととは思えなくて。フォトグラファーの作品として「すごいですねー」と、はたから感心して見ている感じ。そもそもドラマも写真集も、自分のやりたいことではなくて、そこに需要があるなら、と挑戦してみたら、こうしてメディアに取り上げられるきっかけになった。その意味で、自分で自分に制限をかけるのはもうやめようと、吹っ切れた一年ではありました。
■落ち込んで葛藤した
TBSテレビのアナウンサー時代は「ぶりっこ」として、女性からは反感を買う役回り。それが一転、「あこがれの女性」に変わったのは2017年に女性誌「アンアン」の表紙を“肘ブラ”のセミヌードで飾った時だ。
田中:TBSに5年いて、14年にフリーになったのですが、自分の思うような成果が出せなくて、悶々(もんもん)としていました。そんな時、「美乳特集」で、セミヌードという表紙のオファーをいただいたんです。先方も「それでもいいですか?」と恐る恐るという感じで。大きいことがコンプレックスになっている胸か……と一瞬ひるみましたが、でも、それ以上に私は表紙に出たいと思った。やるからには中途半端ではなく、私を求めてくださる方の要望に120%以上で報いたいと決意したんです。
男性目線の色気を排し、それでいてセクシーな表紙は、女性たちの大きな共感を呼んだ。女性が求める「美しさ」を体現していたからだ。本人にとっても新しい自分の発見につながった。