黒田:画面上では、私の前を通り過ぎて投げているのでクロスした感じに映っています。ここは画面の角度、切り取られ方の問題だと思います。たとえば私が選手に寄っていって妨害をしたり、投げる瞬間にわざとペットボトルを落とすなどの行為をすれば、今はレフェリーから監督にイエローカード、またはレッドカードが出ます。

 非紳士的、反スポーツ的な行為だと判断されれば、今のルールではかなり厳しいペナルティーが課せられるのです。間近にレフェリーが2人もいて、そうした認定は一切受けていないこと、選手が普通に手を上げて一直線で投げていたことから考えても、妨害行為などなかったことは明白だと思います。

――外に出たボールの渡し方の話に戻ります。プロなどの試合では、選手がボールを相手に戻す際にはポイントより後ろの方に投げるなど、少しでもリスタートの時間を稼いで態勢を整える時間を取っているように見えます。高校サッカーの場合、選手はともかく、監督はこうした行為は禁じられている、もしくは著しいマナー違反だとされる「ルール」はあるのでしょうか。

黒田:まず、今回の決勝で私は意図的にボールを遠くに戻したことはない、という前提でお話します。相手のリスタートが早くなるほど、自分たちの形勢が不利になるのはサッカーの常識です。もし監督やコーチが、相手チームが早くリスタートできるために、自ら動いてすぐさまボールを渡すなどしたら「お前、どっちの味方なんだ?」「お前、何考えているんだ?」と周囲から非難されると思います。

 プレーが止まった後、いかに自分たちの態勢を整える時間をつくれるかは、選手、監督、コーチみんなが常に考えていることです。もちろん、悪質な時間稼ぎはペナルティーの対象になりますが、監督だからといって、拾ったボールはすぐに相手チームに渡さなければならない、なんていうルールはありません。そのため、転がってきたボールをわざと「触らない」なんて行動もサッカー競技では一般的ではないでしょうか。

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「ピッチでつばを吐いたことは事実です」