議事堂襲撃事件のあった1月6日、ワシントンDCにはトランプ支持者たちが数多く集まった(撮影/大和田三保子)
議事堂襲撃事件のあった1月6日、ワシントンDCにはトランプ支持者たちが数多く集まった(撮影/大和田三保子)
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 1月6日、米国会議事堂にトランプ派の暴徒が乱入する襲撃事件が起きた。トランプ氏が扇動したと弾劾訴追されたが、それでも支持する人がいる。なぜか。AERA 2021年1月25日号では親トランプ、反トランプの4人の女性を取材した。

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「私は立っていただけなのに、いきなりキャピトル(議事堂)警官に小突かれ、ペッパースプレーを顔に2度かけられ、階段から落ちて背中を打撲した。武器など何も持たず、議事堂前のバルコニー近くで平和的にデモに参加していただけなのに」

 カリフォルニア州ロサンゼルス郡に住むキラ・イニスさん(34)は震える声でそう語った。

 どこに行く時も必ず、トランプ大統領のスローガンである「Make America Great Again」のロゴ入りの赤い帽子を被って出かける。彼女は、1月6日、ワシントンDCでトランプ大統領の生演説を前から2列目のVIP席で聞いていた。トランプ大統領の支持者が連邦議会議事堂を襲撃した、あの日だ。生演説の後、議事堂前へと行進した。

「ペンス副大統領が、大統領選の不正を議会決議できちんと主張するようプレッシャーをかけるのが、あの日の私たちの目的だった。私たち保守派は法を遵守するのがポリシー。建物を破壊など絶対にしない。窓を壊して議事堂内に乱入したのは、トランプ支持者の服装を真似て変装した過激派たちだ」

 黒人でミレニアル世代のイニスさんは、涙ぐみながらそう語った。8歳の頃から保守派で共和党支持者。もちろん大統領選でトランプ氏に投票した。選挙には大規模な不正があったと信じている。裁判所は不正の訴えを棄却したが、証拠は?と聞くと「徹底的調査がないままバイデン勝利で押し切られたこと自体が重大問題」と言う。

「私たちは断じてテロリストではない。トランプは議事堂に突入しろとは言っていないし、暴力も扇動していない」

 イニスさんは、人種差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」デモが過激化したのを取り締まる警察を積極的に応援してきたのに、今回は自分が殴られ、裏切られたと感じた。

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