今や就活に欠かせない存在となった、求人情報サイト「リクナビ」に始まり、「クーポン券」を日常的な存在にしたクーポンマガジン「ホットペッパー」、旅行専門雑誌「じゃらん」の発行……とこれまで多様な分野でその存在感を発揮してきたリクルート。ホットペッパーやじゃらんは、紙媒体で成功を収めると早々にネットでのサービス提供にも乗り出し、その利用者は年間延べ1億人にも及ぶ。これらのサービスはいずれも、今ではユーザーの生活の一部として根付いている。そんなリクルートが、また新たな市場に向けて動き出す。
その市場というのが、ネット通販事業だ。これまでリクルートが参入していなかったのが意外な感さえある。だが、後発だけにこれまで同社のネットビジネスの蓄積が存分にいかされたものになっている。
リクルートグループの株式会社リクルートライフスタイルが運営するネット通販サイト「ポンパレモール」は3月15日にオープンした。最大の特徴は、リクルートが現在運営している宿泊予約サイト「じゃらん」や、クーポンサイト「ホットペッパー」の利用で貯まる「じゃらん×ホットペッパーポイント」を使用できるという点だ。これは、単なるポイントの相互利用というユーザー側のメリットの他に、すでに他のネットサービスで多くの顧客を抱えているリクルートならではの戦略となっている。
ネット通販への進出を考えたとき、立ちはだかるのは既存の大手通販サイトの存在。既存サイトを利用している顧客を、新サイトに呼び込むのはかなり困難だ。しかし、リクルートは「じゃらんnet」と「ホットペッパー」のサイトを利用する約1億人のユーザーを抱えている。そこにポイントの連携を訴えかけていくことで、ネット通販を利用したことがない人も新たな顧客として呼び込むことができる。競合サイトから顧客を奪うのではなく、すでにリクルートのサイトを利用している人の中から新たな顧客を生み出すことができるのだ。 実際、「じゃらん×ホットペッパーポイント」会員への調査では、9割弱の会員がポイントをネット通販に利用したいと考えていると回答した。既存顧客の中に埋もれた通販需要があることを十分に感じさせる。
またこのポイントシステムをより効果的にするため、ポンパレモールではすべての商品購入時に、3%という比較的高めのポイント付与を行っている。これにより早期のポイント蓄積を促し、次の商品購入へとつなげるためだ。
2012年時点で9兆2810億円の市場である、ネット通販事業。15年までにはさらに2.5兆円の拡大がのぞまれるという。この市場で大きな存在感を示すことがリクルートの目標だ。
【関連リンク】
ポンパレモール
http://www.ponparemall.com/