そしてもう一つ。これはプロ野球界の中の問題だが、今年も観客を収容人数フルに入れて試合が行えないかもしれない。ならば、選手の年俸カットについて、真剣に話し合ってもらいたい。年俸は、契約更改交渉を見ても、しっかりと保証されているように見えた。だが、新型コロナウイルスとの戦いは1年や2年で終わるかどうか、わからない。経営する側、選手で話し合いを行うのは当然だ。
各球団の経営状況がオープンになっているわけではない。だから、どれだけ各球団に体力があるのか、選手の人件費はどれくらいかさんでいるのかが、わからない。そこをうやむやにする時代は終わっている。収入が球団として限られるなら、年俸を削るしかない。それが各球団で一致した思いであるなら、経営側と選手会でしっかりと話し合うべきだ。水面下でうやむやにすべき事象ではない。
新型コロナウイルスとの戦いを「特別」と思ってはいけない。野球界も今年我慢すれば、来年我慢すれば、と考えていては、いつかつぶれてしまうかもしれない。シビアな問題かもしれないが、生き残っていくために、腹を割って話し合ってもらいたいと私は考える。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2021年1月29日号