Hi−Fiさんの大学時代の友人でアニメ制作会社勤務の女性(23)は、もともとは「2次元」のアニメやゲームが好きだったという。その後、日本のアイドルグループを経て、韓国のグループ「SEVENTEEN」のウォヌさんに傾倒。BPO関係の会社に勤務する女性(24)は、舞台や若手俳優から入り、現在は「NCT127(イリチル)」のテヨンさんを推していると明かした。この時点では、互いのことも「推し」のこともあまり知らないからだろうか。時折Hi−Fiさんが口を挟むくらいで、プレゼンに静かに耳を傾けていた。

 全員が自己紹介を終えると、オリジナルの「無戦略的推し広報双六」の開始。止まったマスの指示にふさわしい動画を選び、推しのエピソードを披露して魅力を伝えていく。「こんなにすごいのに○○だけできないんです」「推しのファン想いエピソード」といった指示は、事前に全員から募った。

「推し! 好きだ! ギャップ編」のマスに止まったあさくらさんが見せたのは、俳優の本田礼生さんが出演した「THE CONVOY SHOW(ザ コンボイ ショウ)」の「ATOM」という舞台で見せたアクロバットの動画。本田さんにハマったのは「A3!」というアプリゲーム由来の2.5次元舞台がきっかけだった。立教大学在学中に演劇を専攻、もともと舞台が好きで観に行ったところ「1人だけ体の動きが違う人がいた。かわいいキャラクターなのに、アクロバットがキレキレで。帰りの電車で次の舞台のチケットを取りました」。

 動画を見ていたHi−Fiさんが、実力派のベテランと若手との関係性が面白いという話を聞いて「コンボイ見たくなってきた!」と言えば、すかさずあさくらさんが「見ようよ!」と誘う。それぞれがマスに止まるたびに、映像を見ながら、エピソードに笑ったり感心したり。双六はおよそ10時間にも及び、そのまま力尽きて就寝した。

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