「今年で女優デビュー10年を迎える菜々緒さんですが、『クールな悪女といえば菜々緒』という存在になりました。最近では、劇場アニメ版『美少女戦士セーラームーンEternal』での敵役・ネヘレニア役にも挑戦。本人は『お芝居では、悪役をやらせていただくことがすごく多かったので、その集大成』と話されていましたね。ネヘレニアが『光ある所に闇はある。闇は光を呼び、光もまた闇を呼ぶ』と二極性があることについて話すセリフがあるそうなのですが、悪役を多く演じていた時に胸の中に抱いていた葛藤を、言葉にして伝えてくれた気がして、グッときたそうです」(同)
このネヘレニアの言葉は、彼女の姿そのものかもしれない。
■5月公開映画でも悪女を熱演
ドラマ「ファースト・クラス」(フジテレビ・2014年)や「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(フジテレビ・2015年)などで、鬼気迫る悪役ぶりが話題となった菜々緒。
「2019年に放送されたドラマ『4分間のマリーゴールド』で、悪女から“脱却”したはずだった菜々緒さんでしたが、視聴率で苦戦し評価もイマイチでした。日本人離れした骨格と隠し切れない妖艶さが禍いしたのかもしれません。菜々緒さんはバラエティー番組などで見せる『人の良さ』も魅力のひとつ。ボス恋では、悪女+心根はやさしいというギャップがほどよく描かれているので、菜々緒さんにかっちりハマった役になったのではないでしょうか」(同)
かつて雑誌のインタビューで悪役を引き受けた理由について、「そもそも負けず嫌いで、人が通る領域に進んで踏み込むような性格でしたし、誰もやらないことをやってみたかったので」と語っていた菜々緒(「SWITCH」2016年10月号)。その飽くなきチャレンジャー精神が今の“悪女・菜々緒”を確立したと言えるだろう。
ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、彼女の今後についてこのように語る。
「多くの俳優がキャリアを重ねるにつれ、新しい役に挑戦したりキャラクターチェンジを試みたりしますが、彼女の場合、今のままで十分だと言えるでしょう。確かに悪女イメージがすぐに思い浮かびますが、見方を変えれば、それだけ“菜々緒ブランド”が確立・浸透した証拠。俳優に限らず、唯一無二の存在であることがなかなか難しい今、これは大きな財産とも言えます。むしろ全面に押し出して、突き抜けて欲しいですね。5月にはバカリズム脚本、永野芽郁主演の映画『地獄の花園』にも出演。OLたちを牛耳る“悪魔の朱里”と呼ばれるインパクト抜群のキャラとビジュアルで、その魅力をいかんなく発揮してくれることでしょう。また、これだけ美しいにも関わらず、決して女優気取りせず、サービス精神にあふれてバラエティーとの相性も非常に良い。まだまだ彼女の活躍を見たい人はきっと多いと思います」
4月公開の映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画をつくったら~」にも出演が決定している菜々緒。女優デビュー10年を迎える今年、次はどんなクールな演技を見せてくれるのか、注目したい。(高梨歩)