あなたの周りにムダにやる気を下げてくる人物はいないだろうか? 経営・組織戦略コンサルタントの西野一輝氏は、こうしたやる気を下げてくる人物への対策を『モチベーション下げマンとの戦い方』(朝日新聞出版)として上梓した。今回のテーマは「『これだから女は』と言いがちな上司」について。
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「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」と発言した東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗氏が、女性蔑視だと国内外の批判にさらされ、辞任する騒動がありました。
森氏だけでなく、こうした発言をする上司が生息する職場は意外とあるのかもしれません。知人に話を聞いてみたところ「女性に対する偏見を口にする上司は当社にいますよ」と教えてくれました。
その職場には「女はすぐ感情的なる」などと偏見に満ちた発言を口にする上司がいるとのこと。社内で行われる宴会など、気が緩む場面に限らず、会議中や朝礼などの発言でも問題発言を連発。部下たちは大いに反感を抱いているようです。
でも、どうして、このような上司が存在できるのでしょうか?
まず、差別発言をする上司は問題を認識していない可能性が高いと思われます。日本法規情報株式会社の男女間格差に関する調査(2016年)によると、女性の約3人に2人が男女差別を受けたことがあると回答していました。ところが7割以上の男性は差別をした経験がないと回答。男性だけが差別的な言動をしているとは限らないのでしょうが、一方で認識のないまま差別発言をしている男性が多いこともうかがえます。
発言者が同世代の同僚であれば注意もできますが、上司だと指摘しづらいもの。「下手に注意して自分の評価を下げられやしないか?」といった不安をいだけば、言わないという判断をする人が大半でしょう。職場が上司に対して気軽にモノが言える風土か否かも、差別発言をする上司の存在と大きくかかわるのは間違いありません。