「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】日本航空さんから「おもてなし」の話を聞く接客トレーニング担当者たち
* * *
コロナ禍の生活も1年が経ちました。ローソンでも、店舗の換気をよくしたり、セルフレジの導入を進めたりと「新しい生活様式」に対応。お客様のニーズが変化するなかで、変わるものと変わらないものを見極めなければならないと考えています。
ローソンには、クルーさんとの挨拶やちょっとしたコミュニケーションを楽しみに来店されるお客様がいらっしゃいます。特に、巣ごもり生活で人と会う機会が減り、いつものお店で一言、二言話したいと思われるようです。
一方で、短時間で買い物をしたいお客様もいらっしゃいます。どちらのニーズにも応えながら、安全安心にお買い物を楽しんでいただきたい。コロナ禍でのおもてなしがこの1年の課題でした。
マスクを着けていても笑顔や明るさを伝えるにはどうすればよいか、短時間でもお客様にほっとしていただける店づくりに必要なものは何か。社内で検討を重ねています。
2月には日本航空さんによる「ホスピタリティ講座」を開催。店舗接客と飛行機内での接客。フィールドは異なりますが、人と人とが接する場で、目の前の方にどう満足していただくかは共通の課題です。お客様のニーズをさっとくみ取り、一人ひとりに合わせたサービスを追求する。画一的な対応では、決して満足していただくことはできません。サービスの根底に流れる価値観は同じです。
今回の講座は、首都圏に勤める接客トレーニング担当20人が受講しました。日本航空さんが機内で心がけるホスピタリティーを店頭に置き換えるとどうなるのか。ローソン流に落とし込み、アレンジします。
「ホスピタリティ講座」は今後、全国の社員へと展開していく予定です。一人ひとりのお客様に満足していただけるよう、おもてなしにも磨きをかけていきます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年3月22日号