21日、政府は首都圏4都県に発令した緊急事態宣言を解除した。これを受け、加藤勝信官房長官は22日の記者会見で、飲食を通じた感染の再拡大について「自治体と連携し、着実な実施に努める」と強調。飲食店への時短要請は継続することになった。ところが、22日夜に東京・上野の「アメ横」付近を訪れると、時短要請などどこ吹く風。週初めの月曜にもかかわらず、人であふれ返っていた。22時を過ぎた頃には、ナンパや路上で嘔吐する者まで……上野はまるで“無法地帯”と化していた。
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「パーリラ、パリラパーリラハイハイ!」
居酒屋の屋外席から、合いの手とともにコールが響く。スーツ姿の40代くらいのサラリーマンと、20代と思われる女性の4人グループが酩酊状態でどんちゃん騒ぎをしている。
「いつで~もスマイルし~ようね~」
別の店からは、女優・森七菜が歌うホフディランのカバー曲『スマイル』を大声で歌う男女の声。男性の「ブワアアァ!」という奇声なのか雄たけびなのか判別できないような声も聞こえる。
ガード下で嘔吐している男性や、通りで立ち小便をするスーツ姿の男性も……。その様子を見た通行人は「やば」「すご」と、驚きの声を上げながら通り過ぎていった。
3月22日夜。時刻はすでに22時をまわっていたが、東京・上野の歓楽街は、緊急事態宣明け初日とは思えないほどの喧騒だった。
上野の商店街「アメ横」は、数多くの居酒屋が立ち並び、屋外で飲食できる店も多い。そのため、緊急事態宣言中から多くの客が集まり、テレビの情報番組などでも取り上げられてきた。宣言解除初日となった22日も、自粛のうっぷんを発散させようとする人々であふれていた。
この日、アメ横は夜の帳が下りる前の15時ごろからすでに赤ちょうちんがともっており、若者グループが次々と居酒屋に吸い込まれていた。
「はい、いらっしゃい、どうぞー!」
ガード下の屋台では、スタッフの活気のある声が響いている。月曜の昼間だというのに、客席は満席。隣の席とのソーシャルディスタンスは保てていない。アクリル板などの仕切りもない中、大声を出している客が散見され、飛沫が飛ばないか心配になる。屋外とはいえ、もし感染者が紛れていたら、たちまち感染が広がってしまいそうな状況だ。