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東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長が開閉会式の演出内容を暴露した週刊文春の記事について、発行元の文芸春秋に対し、法的措置も辞さないと厳重抗議したことが、波紋を広げている。
4月1日発売の週刊文春と3月31日配信の「文春オンライン」の記事で、演出チームの元メンバーだった振付師のMIKIKOさんが国際オリンピック委員会(IOC)にプレゼンした内部資料を報道し、演出や画像の資料が掲載されていた。
橋本会長は「報道の自由を制限するということでは全くない。ただ今回は280ページに及ぶ内部資料が流出し、組織委の秘密情報を意図的に拡散し、業務を妨害、著作権侵害になる」などと主張。だが、皮肉にも橋本会長の抗議が一連の東京オリンピック問題に対し、火に油を注いだ格好だ。
「文春への抗議は組織委単独ではなく、官邸の意向も踏まえてのものです。支持率回復の特効薬として五輪成功にすがるしかない菅(義偉)首相と、官邸の意向を何の疑いもなく受け入れ、とにかく全力で遂行しようとする橋本会長のノリとが組み合わさって、余計におかしなことになったという構図です。菅首相は東京オリンピックに対する文春報道に危機感を抱き、火消ししろと激怒。それを忖度した橋本会長が却って火を付けた、という今の政権のチグハグさを象徴している事例です…。丸川(珠代)五輪相も官邸ばかり見ていますし、情けない限りです」(政府関係者)
菅首相は当初、9日にも米国のバイデン大統領との初の対面による首脳会談をワシントンで行うと大々的に発表していたが、変異株による新型コロナウイルス感染拡大などにより1週間の延期をせざるを得なくなった。早々につまずいた印象を与えた格好だ。
「会談延期の原因は米国が開催する予定の晩餐会の準備などがコロナ感染対策で遅れていることが要因です。成果の乏しい菅首相としては、米国との親密さをアピールするために、絶対に自分が一番乗りで米国で首脳会談をやりたいのですが、政府の訪米団全員がワクチン2回摂取するのに、予想以上の時間がかかっています。ワクチン供給がここまで遅れ、国民がストレスを溜めている中で、マンガのような話です」(官邸関係者)