古代エジプトのクレオパトラが、ボディーオイルに愛用したとも伝えられる「ごま油」。古くから、燃料や香料、薬用やミイラづくりの防腐剤、食料などとして暮らしを支えてきた。新型コロナウイルスの影響で引き続き“巣ごもり生活”が避けられないなか、「1日1さじ」の摂取が体をさびさせないという。
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「人の体は自然に酸化します(さびます)が、ごま油には“抗酸化作用”があり、老化や病気になるリスクを抑えてくれます」
『医師がすすめる抗酸化ごま生活』(アスコム刊)の著者で、赤坂ファミリークリニックの伊藤明子院長は、ごまを活用した食生活の改善を勧めている。たんぱく質が豊富で、抗酸化力や抗糖化力が高いとされる。
ごま油に含まれる成分「セサミン」「セサモリン」が、酸化を抑えてくれるというのだ。そして、体が焦げた状態になる糖化に対しても威力を発揮。糖化とはたんぱく質が余分な糖と結びつく反応で、糖化が進むと動脈硬化や認知症、肌のしわやたるみなどにつながる。これを予防してくれる働きがあるという。
“うれしい”研究結果も次々と報告されている。
例えば、肝臓に中性脂肪が蓄積する「脂肪肝」の改善や抑制が認められたという。血管の壁に蓄積してしまう悪玉(血清LDL)コレステロールや、中性脂肪の吸収をやわらげたり、血圧を抑えたりする作用も確認された。心臓の肥大を抑制する作用もみられたというのだ。
食品や化粧品などを通じて、鉛や水銀といった重金属が体内に蓄積されてしまった場合、ごま油はそれらの排出を助けてくれる。
内臓脂肪を過剰に抱え込んだ“メタボリックシンドローム”の人を対象にした実験では、ごま油を毎日摂取した人は「メタボの数値が統計的に有意に改善された」(伊藤さん)。
さらに、ごま油の抗酸化力の特徴として、60度で50日間ほど保存しても低下しにくいとされる。つまり、炒めたり、焼いたりと加熱調理しても、ほかの油に比べて酸化しにくいメリットを持っている。