
テレビで見ない日がないほど、引っ張りだこの「霜降り明星」の粗品。世界的ピアニストとの競演などミュージシャンとして定評があったが、ついに自身のレーベル「soshina」を立ち上げ、音楽活動を本格化させた。
「学生時代に何となく趣味でやってたけど、先に結果が出たのがたまたま、お笑いやったんです」。笑いも音楽も、職業にするつもりはなかった。そんな“ギャンブラー”な人生に、新たなページが加わる。「漫才だけでは表現しきれなかったことを音楽で表現したい」という。
決断したら、徹底的にこだわり抜く。「誰かに頼りっきりで、『このたび曲出しますねん!』みたいなノリは嫌。漫才のネタを作るように一から全部、編曲もディレクションもして、音楽を作りたい」
レーベル最初の楽曲は、リスペクトする実力派ミュージシャンたちと才能をぶつけ合い、生み出した。映像も自ら監修し、絵コンテの一つひとつにも妥協を許さなかった。
経験のないリスクをとるからこそ、その先に広がる夢に近づける。28歳の勝負師はまるで悟っているかのようだ。「やりたいことはめちゃくちゃあるんですよ。いつかはオーケストラもやりたい」
(取材・文/中将タカノリ)
※週刊朝日 2021年4月16日号