日本オリンピック委員会(JOC)の職員の一人は、五輪の日本開催ができるか以前に、そもそも海外選手団を日本に送れる状況か否かをIOCは見定めていると話す。
「五輪開催は、国内の感染状況によって決まると思われていますが、実際はワクチン接種もままならない日本に、そもそも選手団を送るか、という参加国側の意思決定の問題もある」
■変異の流入阻止は無理
一方、海外からの変異ウイルスの流入を防ぐ最前線に立つ検疫官の一人は、政府は欧州や南米など29カ国・地域を変異株流行国に指定している状況で、仮に五輪関係者が入国の前提となる陰性証明を持っていたとしても、それで海外からの変異株の流入を阻止できるかと言えば、それは不可能だと断言する。
「現在、コロナウイルスまん延による入国拒否対象国からも人はやってきます。陰性証明があるから大丈夫と言いますが、その信憑性を担保できない国だってあるでしょう。政府要人は、検疫はノーチェックが慣例です。要人付きのマスコミなど関係者にも、どこまで徹底できるのか疑問です」
(編集部・中原一歩)
※AERA 2021年5月3日-10日合併号より抜粋