東証1部上場企業1606社の業績推移(過去5年間)を調査したところ、経営陣が株式を一定以上保有する「オーナー企業」のほうが、株を持たない経営陣による「非オーナー企業」よりも、売上高・経常利益・時価総額・社員給料とすべての点で良好な成績をあげていたことがわかった。経営ジャーナリストの渡邉正裕氏がレポートする。なお、今回の調査では、オーナー企業の定義を「株式順位トップ10以内に、役員またはその一族がいること」とした。

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 オーナー企業の圧勝で、改めてその強さがはっきり数字で出た。オーナー企業(491社の合計)=売上高6%増、経常利益11%増、時価総額29%減、社員の給与1%減。

 非オーナー企業(1115社の合計)=売上高8%減、経常利益34%減、時価総額46%減、社員の給与3%減。オーナー企業は、不況下でも売り上げを6%伸ばし、経常利益も11%伸ばしていた。時価総額は29%減らしたが、平均給与は1%減と、ほぼ横ばいだった。

 具体的に、絶対額で最も収益を伸ばしたオーナー企業はどこだったのか。

 オーナー企業内での5年間の経常損益変化額の上位20社は、1位ソフトバンク、2位アイフル、3位ブリヂストン、4位ファーストリテイリング、5位ディー・エヌ・エー、6位ニトリホールディングス、7位ケーズホールディングス、8位GMOインターネット、9位リンナイ、10位ドン・キホーテ、11位サンリオ、12位コーナン商事、13位しまむら、14位セブン&アイ・ホールディングス、15位沢井製薬、16位ツルハホールディングス、17位コスモス薬品、18位ニチイ学館、19位ゲオホールディングス、20位タチエスのとおりだ。

 経常利益額を3.7倍にしたソフトバンクが、大差で1位だった。同社の増益額4202億円は、オーナー企業全体の増益額の9.7%も占める。2位以下も、ファーストリテイリング、ディー・エヌ・エー、ニトリなど、軒並み有名なオーナー経営者がいる企業が並んだ。

 オーナー企業では、創業家の一族が複数名で株を持ち、さらに資産管理会社と合わせて株を持つケースも目立った。ユニクロでは、柳井正社長と息子2人で計30.6%を保有。楽天の三木谷浩史社長は夫婦で25.9%、資産管理会社であるクリムゾングループ(17.1%)と合わせ、計43%を保有。しまむらの島村裕之社長は、個人では1.3%しか持たないが、島村企画、島村興産といった資産管理会社分を合わせると、実質で計26%を持つ。

週刊朝日 2013年6月14日号