林:いっぱいいじってる人は、見るとわかりますからね。
高畑:私、佐藤愛子先生のあの笑顔が大好きで、ああいう笑い顔の女優さんになりたいんです。佐藤先生は頭もクレバーで、ズバズバと言いたい放題。まさに「歯に衣着せぬ」という感じで、憧れます。
林:瀬戸内寂聴先生も「この世にコワいものは何もない」とおっしゃって、ズバズバ言いたいことをおっしゃってますよね。
高畑:すごいですよね。私も70歳過ぎたら言いたいこと言ってもいいかな。いまは一応、気をつかってるんですよ(笑)。
林:私も気をつかってますよォ。うちに夫もいるし、すごく気をつかって、ストレスがたまります。
高畑:でも、それをすべて筆に込められるじゃないですか。
林:いえいえ、本当に悲惨なことは書けませんよ。遠慮してるし、我慢してるんです。
高畑:そうですか? そうはお見受けしないですけど(笑)。
林:それはそうと、このあとのお仕事は、もういろいろと決まってるんですか。
高畑:はい。『老後の資金がありません』(垣谷美雨著)という本がありますけど、この本が原作の映画を天海祐希さんたちがなさって、舞台版を渡辺えりさんと私のダブル主演で夏にやらせてもらうんです。
林:へぇ~、おもしろそうですね。やっぱり高畑さんは、お芝居がいちばんお好きですか。
高畑:今は映画がおもしろいなと思いますけど、舞台は好きかどうかは別にして、考える時間がふんだんにあるんですね。「どうやったらお客さんに伝わるだろうか」とか「どう見せたらいいだろうか」とか、自分とまったく違う人の価値観について、稽古場の中で考える時間がおもしろいですね。それが私の精神セラピーなんだなって今になって思います。
林:高畑さん、ブランチ(「欲望という名の電車」の主人公)もなさってますよね。
高畑:10年前にやりました。本当に難しくて、あれはうまくいかなかったです。酷評されましたけど、それが糧になっているかな。私、とても頑丈で、どれだけ打たれてもへこたれない人間に見えちゃうみたいで、「君はどうやっても(ブランチのように)弱々しくは見えないよ」って。でも、好きな戯曲です。林さんもお好きですか。