「正直、筒香の獲得が正しいかはわかりませんが、今のドジャースの状況を考えると必要な戦力であることは間違いありません」

 こう語るのはドジャース専門メディア『DODGERS NATION』のブルック・スミス記者だ。同記者が語るように現在のドジャースは戦力が低下し、順位も落ちている。開幕前は、ダルビッシュ有を擁するサンディエゴ・パドレスとの熾烈な首位争いが予想されていたドジャースであったが、主砲のベリンジャーや、昨季ワールドシリーズMVPのシーガーなど負傷者が相次ぎ、また同地区で首位を走るサンフランシスコ・ジャイアンツの勢いに追いつけず、現在はナ・リーグ西地区3位という不本意な位置にいる。さらに、ユーティリティープレーヤーのリオスが左肩の手術のため、今季絶望となってしまったことで選手が足りない状況に陥った。もっとも、ドジャースは優勝の可能性は十分にある。内外野を守ることができる筒香は、まさに今のドジャースにフィットしており、その点では「今回の獲得も理解はできる」というのが地元記者の意見だ。

 また、筒香を好条件で獲得できたことも好意的に受け止められている。ドジャースは筒香をトレードという形で獲得したが、通常、戦力外通告を受けた選手がFAを待たず、ウエーバー期間中にトレードでの移籍が成立すれば、新たに所属するチーム、つまり今回の場合ではドジャースがその残りの年俸を負担することになる。しかし、現地メディアの報道によれば、筒香の残り年俸は例外的にレイズが負担し、ドジャースはメジャー最低保証年俸の約43万ドルを負担するのみだという。レイズの温情的な対応もあったのだろうと予測されるが、ドジャースにしてみれば負傷者の代わりを格安で獲得できたといえ、この点は地元メディアも高く評価する。

 使い勝手の良い守備力を買われドジャースに移籍することになった筒香だが、基本的には外野での出場が多くなるという予想もある。今季レイズでは一塁手を務めていた筒香であったが、ドジャースは筒香獲得と同じタイミングで、大谷翔平の元同僚で殿堂入り確実といわれる内野手のプホルスを獲得した。また、15日に死球による骨折で離脱したシーガーのポジションには外野出場が多いタイラーが就くと予想され、筒香が内野の守備に就く機会は多くないという。

次のページ