理想の上司ランキング、男性部門で5年連続第1位のウッチャンこと内村光良の“上司力”に迫った書籍『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)は11日の発売前に重版が決まるなど、注目を集めている。関係者への取材を重ねた著者の畑中翔太が、リーダー内村を分析する本連載。
第5回目のテーマは「立場関係なく、最善を尽くす」。
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内村の一面を象徴するあるエピソードがある。
2006年公開の内村の初監督にして主演映画『ピーナッツ』の撮影時のこと。野球場での撮影を予定していたが、前日からの雨天の影響で野球場スタッフによるグランド整備待ちの時間があった。
整備が終わるまで撮影ができないため、共演者や撮影スタッフの休憩時間になったそうだ。しかし、ふと気が付くと内村の姿がみあたらない。「内村さんがいない」と騒いでいると、なんと内村は野球場スタッフと一緒にグラウンド整備をしていたという。その内村の姿を見た出演者・撮影スタッフは総出となり、関係者全員が作業に加わった。
実際には撮影現場のコンディションを整備するチームは別に存在しており、作品における「監督・主演」というポジションである内村は、通常であれば“それ”をする役回りではない。にもかかわらず、気づけば彼は一人混じってグラウンド整備をしていた。
「私はその場にいたわけではなく、出演者の一人からこの話を聞きましたが、非常にウッチャンらしいと思いました。そういう人なんですよ。みんなでやらないか、って言うんじゃなくて、黙ってひとりでやるんですよね。一番上のリーダーがせっせとグラウンドの整備をしていたら、俺たちもやらなきゃ、ってなりますよね」
こう語るのは、内村が20代の頃から長年にわたりヘアメークを担当している大の木ひで氏。
同じく現場にいた出演者の一人からこの話を聞いたという、同作品の出演者で後輩芸人のウド鈴木氏はこう補足する。
「なぜ最初からチームみんなに声掛けしなかったのか? う~ん、おそらく内村さんは、ハードな撮影続きで疲れがたまっているみんなには休んでもらいたい、でも少しでも早く撮影を再開したい、ということで、自分ひとりでやったんだと思います」