高畑:両親が舞台好きなので、いろいろ見てきました。「ミス・サイゴン」もよく見ましたし、その影響もあって、舞台に立つ人になりたいなと思ってこの世界に飛び込んだんです。
林:劇団四季に入ろうかな、とは思わなかったんですか。
高畑:思わなかったです。大変そうだし、厳しそうだし(笑)。きっかけはストレートプレイなんですよね。私、「奇跡の人」のヘレン・ケラーがやりたくて。
林:「奇跡の人」はもうやりましたよね。
高畑:はい。この世界に入ってあの役をやれて夢がかないました。
林:ピアノや音楽もその前からやってらしたんでしょう?
高畑:実はほとんどやってなくて、歌も芝居もほぼなにもできないまま最初のオーディションに受かっちゃったんです。だから、そこからシゴかれたという感じです。
林:ストレートプレイとミュージカルって、すごく違うような気がします。発声の仕方からして。
高畑:ミュージカルはちょっとアスリートっぽい感じがしますね。演技だけでなく、まず歌を歌う筋肉が必要というか。感情を込めて歌うだけでは、いい声を出せなかったり、音程をはずしたりするんです。だから、ミュージカルって奥深いなと思います。
林:今、ミュージカルは?
高畑:このあいだ終わったんですけど、「ウェイトレス」というミュージカルをやってました。ブロードウェーからの輸入ものです。
林:そうですか。すいませんでした、見られなくて。
高畑:ぜんぜん。もし再演があったら、よかったらいらしてください。いい演目なので。
林:コロナで劇場の客席が半分になるし、そのうえあんまり告知もしてくれなくなって、つい見逃しちゃうんですよね。「ミス・サイゴン」のボイトレ(ボイストレーニング)でロンドンに行ったとおっしゃったけど、結局コロナで中止になっちゃったんですよね。
高畑:1カ月のあいだ練習してきたんですけど、中止になっちゃったんです。
林:それはつらいですよねえ。
高畑:そうですね。でも、世の中の状況としても、舞台ができるような空気じゃなかったんです。