日本は信教の自由があり、どんな信仰を持とうと自由である。だが、親の宗教によって、その子どもが苦しんだり、人生の選択を制限されたりするケースがある。その教義が特殊なものであるほど、子どもは苦悩し、生きづらさを抱えることが多くなる。いわゆる「カルト(※)2世」問題だ。AERAdot.では「カルト2世に生まれて」として、親の信仰によって苦しんだ2世たちのインタビューを短期連載する。第2回は、「神の子」として信者同士の結婚を強いられていた2世のケースを紹介する。
【写真】「ゴムホースでお尻をたたかれた」と語るカルト2世の女性
※カルトは「宗教的崇拝。転じて、ある集団が示す熱烈な支持」(大辞泉)とあり、本稿でもその意味で使用している。親が子に信仰の選択権を与えないほどに熱狂的な信者であり、そうした家庭環境で育った子どもを「カルト2世」と定義している。当然ながら、本稿は教団の教義や信者の信仰を否定するものではなく、一部の2世が感じている“生きづらさ”に焦点を当てることを目的としている。
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事務職の派遣社員として働く中田友子さん(34・仮名)は、職場や友人との飲み会が苦手でほとんど参加しないという。職場での人間関係などが原因ではなく、それは子どもの頃の“恐怖”が体に染みついてしまったのかもしれない、と振り返る。
友子さんの両親は1980年代に教団の「マッチング」による結婚式で結ばれた。父親は教団の幹部として各地を回り、母親も海外へ単身赴任して布教するほど熱心な信者だった。教団でいう「汚れなき神の子」として2世で生まれた友子さんは、原罪のない子として地上天国へ行ける、と教え込まれて育った。
「毎週日曜日は礼拝へ行き、家でも教義の本を音読して祈りをささげるのが日課でした。土曜日も教会で開かれる教義についての勉強会に参加していましたが、それは友達と遊ぶのと同じ感覚だったので楽しく過ごしていました。でも父の仕事の関係で転勤もあり、転校生だった私は慣れたと思ったら次の学校へと移り、また新たな人間関係を構築していかなければならなくて、今思えば負担になっていたのかもしれません」