一週間後、ポールを立て、床下配管も終えてNTTに電話をした。ご指摘のとおりの配管をしました、と。

 するとNTTは、いまシステム入れ換えのため、六月八日までは対応できない、と答えた。なにごとも思いどおりにはいかない。

「六月八日は、そちらさんから連絡してくれるんですよね」「はい、こちらから工事連絡をします」

 そうして六月八日。午後四時半になっても連絡がない。さすがにムッとして電話をしたが、いつものごとく「ただいま混み合っています」だ。二十分待ってやっとつながり、事情をいうと「こちら部署がちがいますので担当者を調べて電話します」だった。「その担当者から電話がないから、こっちから電話してますねん」「承知しました。いったんお切りください」

 NTTの体質はまだ電電公社なのだろうか。新型コロナウイルスワクチン接種の予約をしたひとも同じようなめにあったのだろうか。

 次の工事日は七月二十七日と決まった。

黒川博行(くろかわ・ひろゆき)/1949年生まれ、大阪府在住。86年に「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞、96年に「カウント・プラン」で日本推理作家協会賞、2014年に『破門』で直木賞。放し飼いにしているオカメインコのマキをこよなく愛する

週刊朝日  2021年6月25日号

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