こうした野党の強い反発などもあり、政府は「特例承認制度」の活用を断念。承認にかなり時間を要することとなった。それが尾を引き、日本の接種開始時期はイギリスが世界で最初に承認した時期から約3カ月遅れとなった。その時はすでに70を超える国や地域で接種が進められていた。G7の中でも最も遅い接種開始となったのである。
しかし、ワクチン慎重派だった立憲や共産党はその後、国会で豹変し、菅政権のワクチン接種の遅れを舌鋒鋭く追及した。
「気がつけば、政府以上のワクチンの急進派に転向していました。菅政権のでたらめな地方自治体へのワクチン配布や自衛隊の大規模接種センター運営などお粗末な対応を国会で批判することは健全です。ただ、立憲や共産党も自らの過去の言動を真摯に振り返ることは必要ではないでしょうか」(前出の政府関係者)
野党は菅内閣の不信任案を国会に提出したが、難なく否決され、あっけなく閉会した。自民党幹部がこう言う。
「菅首相は観客を入れて、東京五輪を開催するとすでに決めている。もう誰も止められない。五輪開催期間中、人流が増え、尾身茂分科会会長ら専門家が危惧する感染爆発が起こったら、首相は責任を取って退陣するしかないだろう」
野党がポンコツのままだと政権交代のゲームチェンジャーはいつまで経っても現れないままだ。(AERAdot.取材班)