――五輪会場で酒類を販売する、しないの問題でないと?
観客を1万人入れるとか、お酒を出す出さない、やっぱり出さないとか、コンドームを配布するだとか……そういうことじゃなくて、本当に五輪を止めて欲しい。止めれば、そんな問題すべてを考えなくて済むわけじゃないですか。オリンピックがいかに安全安心か、バブル方式で選手を隔離すると言っているけど、オリンピックを安全安心なものにするために、一般の人の生活や権利が犠牲になってしまう。それを奪っての安全安心。オリンピックが安全安心になればなるほど、こちらが削られていく。そういう点でも止めて欲しい。止めるしか選択肢ないのに何をズルズルやっているの? という感じです。
――東京五輪を強行する様を見てオリンピックの問題点が浮き彫りになしましたね
実際に起こる被害を受けることになる私たちからすると良かったとは言えないのですが、今回の事態を見て、オリンピックって本当はこういうものだったんだということに気付けたと思う。オリンピックには色々問題はあるけど、平和の祭典であるし、なんだかんだ見ていると感動するよねと思っていた人たちにも気付きを与えた。
私たちはずっとオリンピックの廃止を訴えてきて、オリンピックに反対するなんて過激だねとかマイノリティとか言われてきたけれども、デモをやったり政治的なことを言ったりしない人たちまで、オリンピックというものがどういうものかまざまざと見せつけられた。
こんなパンデミックの中で東京は開催を止められない、開催都市契約の縛りのためですが、開催都市になってしまうとこんなことが起きるのかというのを世界が目撃することになった。今回のような世界規模のパンデミックの中で開催されるということは、今後、開催都市で災害が起ころうが、何があろうが、利益優先で開催を強行されてしまうということ。世界の都市が、“オリンピックやるのってどうなの?” と可視化するのにはよかったのではないか。
実際、コロナの前から開催都市に立候補するところが減ってきていた。それで、2024年と2028年の開催都市をいっぺんに決めてしまった。先押さえが起こったし、2032年もブリスベンを一本釣りするという動きもある。立候補したけど、住民運動で招致活動から撤退している都市もある。ボストンとかハンブルク、カルガリーとか。どこもやりたくない。オリンピックなんかどの都市もやりたくないというのが世界的共通認識として広がりつつある。私たちが主張するオリンピックを廃絶すべきだというのも夢物語ではないのかと考えています。
デモ隊は18時に東京都庁を出発し、新宿・アルタ前まで都庁のお膝元で“夜の街”の新宿を行進するという。休養中の小池知事にその声は届くだろうか――。
(AERAdot.編集部 太田裕子)