こうした中央の権力闘争を冷めた目で見つめているのが地元の群馬だ。尾身、中曽根の2人の候補、いずれも「帯に短し襷に長し」だとか。ある地元県議は「尾身さんは細田派の支援はあるもののあまり地元まわりをしていないので人気がない。中曽根氏は確かに若くて人気はあるが、父親の弘文氏が群馬の参院選挙区を譲らず、親子で議員の椅子を保持し続けることに抵抗感を持つ人も多い」と解説する。地元政界では、どちらの支持も表明しない中立派も多く、「結局党本部が決めること。地元は傍観するしかない」と冷めた声も聞こえてくる。
群馬で保守分裂選挙となれば、野党・立憲民主党にとっては千載一遇のチャンスのはず。しかし、群馬1区では、立憲も揉めに揉めている。立憲の公認を目指していた前衆院議員の宮崎岳志氏が地元県連と対立。県連は2019年の参院選で立憲から出馬し落選した斎藤敦子氏を党本部に公認申請している。地元の対立に党本部はなすすべなく、公認を決められないまま傍観しているという。
ある立憲幹部は「敵は自民党のはずなのに、身内で争うのがうちの駄目なところ」と漏らす。かくして有権者不在のまま、与野党の身内同士による権力闘争は進んでいく。(渡部俊輔)